先生、ごめんね。




先生が私にしてくれていることに比べて、私が先生にしていることは少なすぎるような気がする。




先生は絶対にこう言う。


“直がいるだけでいいんだよ”って。




でも、それだけじゃだめなんだよ。



先生が疲れてしまう。





ごめんね、先生。




「どした?直」




窓の外ばかり眺めている私を心配して、先生が手を伸ばす。





「いつもありがとう」




突然お礼を言う私を見て、先生は笑い出す。




見上げた夜空に浮かぶ月は、薄っぺらい三日月。



涙のせい?



目を凝らさないと月があることに気付かないくらいだった。