「私は、中学からずっとバスケをしていて中学でも部長をしていてずっとレギュラーだった。高校でも、私はずっとレギュラーで頑張っていたのに…… ある女の子が私から全てを奪った。景子っていう子。途中からバスケ部に入って来て、私の真似ばかりした。3年間必死で頑張って来たのに……引退試合になるかも知れない夏の大会で、私は景子にレギュラーを奪われた。景子は先生やコーチに気に入られようと必死だった。私は実力では勝っていたのに……最後の試合に出ることができなかった」



一気に話し終えた金森は、ようやく山村を見た。


山村はまだ呆然としていた。




その話と山村がどう関係しているというんだろう。





「山村さんは、その景子にそっくりだった。実習初日から私にずっとくっついてきて、新垣先生の話をして来たり、私のご機嫌を取ったり…… そういう山村さんを見ているうちに、山村さんと景子が重なってしまった」




金森は間違っている。


金森は、山村にどれだけ助けられた?


緊張している初日に、山村が金森に話しかけてくれたことでどれだけ気が楽になった?





「そんなの関係ないじゃん」



「そうだよ」



「山村に謝れよ」






生徒も同じ気持ちだった。



山村は、別に機嫌を取る為に金森に優しくしたわけじゃない。



本当に金森に好意を持っていたからなのに。