「さっきは、突然出て行ってごめんなさい。私の話を聞いてください」




右手にハンカチを握り締めた金森は、噛み締めるようにゆっくりと言葉を発した。




「私…… 昔いじめられていたんです。いじめられるのが怖くて、いつも怯えて、人に合わせたりしていて…… さっきみんなからきつい言葉を言われて、怖くて怖くて逃げてしまいました。本当にごめんなさい」




金森がいじめられていたということは俺も初めて知った。



生徒達は真剣な表情で、金森を見つめていた。




「私、全然いい先生じゃなかった。みんなを利用していました。私に意見のある人は手を挙げてください」




最初は誰も手を挙げなかった。


しばらくすると、後ろの方の男子が手を挙げた。




「もうクラスの全員が知ってるから言うけど、金森先生は新垣先生の自宅の電話番号を山村に教えたんだろ?それって、やっていいことなんですか?」




生徒達は一斉に俺を見た。


俺は窓の外に視線を移した。