「もう言わない。最後だから。このまま実習終わって、いいのか?何も楽しい思い出残せずに終わって、後悔しない? ちゃんとみんなに伝えることがあるだろ?謝ることがあるだろ?」




怒りが込み上げてくる。


素直に謝ることができた生徒。


金森を受け入れようとしている生徒のことを考えると、金森の態度に怒りしか感じない。




顔も上げずに、ただハンカチで顔を押さえている金森。


悲劇のヒロインにでもなったつもりか?



もう、どうでもいいや。




「もういい」





迷惑かけてすいませんと喜多先生に謝り、俺は教室へ戻ろうと廊下に出た。





ゆっくりと一歩一歩歩く。



開け放たれた窓から、廊下に入り込む初夏の風が心地良い。




直、俺…… どうすればいいと思う?



もっと大人の対応をするべきだった?





俺は教室に戻って、何を生徒に伝えればいいかわからないよ。