「金森、クラスの生徒が金森を探してきてくれって言うから来た。俺自身としては、探すつもりはなかったんだけど」




俺が強い口調でそう言うと、喜多先生が苦笑いを浮かべた。



「お~!新垣先生、今日は厳しいねぇ」



喜多先生はそう言いながら、金森の肩を叩いた。



金森は顔を上げようとしない。




「金森、山村がお前を探しに行きたいって言ったんだよ。それを無視するのか?お前にとって初めての生徒だろ。このままでいいのか…… 生徒はもう反省してる。ちゃんと金森と話し合いがしたいと言ってるんだ」




ここまで話しても伝わらないなら俺はもう知らねぇぞ。


もうどうでもいい。





「実習の初日、俺は金森はいい教師になれるだろうって思った。生徒とすぐに打ち解けられるのも才能のひとつだ。金森なら生徒の気持ちを理解できる先生になれるだろうって期待していた。でも、今……俺はそうは思えない」





喜多先生は俺を見つめていた。


金森は顔を上げない。





聞こえてる?


俺の声。




届いてる?


俺の想い。