山村は、右手で自分の胸を押さえながら、しぼり出すように話した。



「ごめんなさい。先生…… 私、金森先生が本当に好きで、仲良くなりたくて。すごく憧れていたから…… 一緒に新垣先生のこと話したりするのが楽しくて。金森先生ともこのことを話し合いたいので、探してきてもいいですか?」




「授業中だから、俺が探してくる。それまで、みんなで話し合ってくれるか?議題は……金森先生の実習最後の日に、何をするかってことで。佐藤、仕切ってくれる?」



金森は、山村と本当に仲が良かった。


……仲が良いように見えた。



みんなが金森に不信感を抱いていても、山村は信じていたいように見えた。





俺は、生活指導室へ向かった。


きっと、ここにいる。




金森は喜多先生にもいろいろ相談していたようだし、保健室の先生は今日は休みだから。






―トントン





「やっと迎えに来た。生徒よりも厄介な実習生が、ここから出たくないって言うんだよ」





喜多先生の声。




ソファを覗くと、金森がハンカチで顔を押さえて泣いていた。