「今日の6時間目は、金森に任せるから。あと少しだから生徒に伝えたいことを話していいよ」
目を合わせようとしない新垣先生。
伝えたいことって何だろう。
私がここへ来たことで、この生徒は何か得たことがあるのだろうか。
私、教師になんかならない。
こんな教師、きっといらない。
「何か議題はありますか?」
私は、山村さんの目を見た。
困ったときはいつも助けてくれる生徒。
向こうも私を利用したいだけ。
だから私も利用する。
「山村さん、何かある?」
山村さんはうつむいたまま、首を横に振った。
「みんな無視しなよ」
1番後ろから声が聞こえた。
昨日私の陰口を言っていた山村さんの友達の1人だった。