授業が終わり、レポートを書いている時だった。
視界に入ってくる新垣先生に気付いた。
部屋には他に誰もいなかった。
嫌われたくない。
軽蔑しないで。
先生。
「私がついていながら、止めることができませんでした。すいません。山村さん達、新垣先生の家に電話かけちゃったんですよね?」
最低だってわかってる。
私がけしかけたのに、山村さんのせいにするなんて。
「言うことはそれだけか?」
新垣先生は、そう言って教官室から出て行った。
怒られた方が良かった。
私は、山村さんにライバル心を燃やして、新垣先生に嫌われればいいと思って、電話番号を渡した。
それだけじゃない。
まだ会ったこともない先生の奥さんに対しても……
苦しめばいいと思った。
新垣先生を旦那さんにできただけで幸せでしょ?
これくらいの試練は当たり前。
元生徒だなんて知って、ますます憎しみが沸いてくる。
私だって、結婚したかった。
他にも結婚したい生徒はいっぱいいた。
どうして先生は今の奥さんを選んだんだろう。
悔しくて、悲しくて……
ただ私以外のみんなが苦しめばいいと思った。