生徒達が、パスの練習を始めた。


私は新垣先生に近付いた。




「俺に何か話すことはないのか?」




目を合わせずに、新垣先生は静かに言った。


怒っているんだろう。


低くて、怖い声だった。




「あります。後で時間ありますか」



わかってる。


何の話か。



私は最低のことをした。


山村さんが新垣先生に嫌われればいいと思って……



教官室で偶然見つけた新垣先生の自宅の電話番号を小さな紙に書いて山村さんに渡した。




「ありがとうございます!!絶対内緒にしますね。こっそり電話しちゃおうかな」




ばかだね。


そんなことすれば、新垣先生に嫌われるだけなのに。




「いいんじゃない?」



山村さんが新垣先生の家に電話するように私が背を押した。