「信じるって難しいよね……」



ゆかりは、ホットプレートに残っていた最後のえびをつまんだ。


そして、ゆっくりと口に運び、天井を見上げた。




「信じなきゃって思うのに、いろんなこと妄想しちゃう。他に女ができたってことはないかな?とかさ。バカだよね、私」



ゆかりはボソっとそう言ってから、そんなはずない!!と首を横に振った。




「ないって俺が断言することはできないけど、中田と本気で一緒に生きていこうって思っていることだけは確かだと思う。そう思っていてもフラフラしちゃうヤツなんだけどな。たっくんはかっこいいし、話しやすいから女の子には好かれるとは思うけど」




「先生みたいに、ピシっとしてないんだよ。たっくんは。すぐデレデレしちゃうから心配なの。携帯だけは見ないって思うけど、見たら絶対女とメールばっかしてると思うんだ」




それは私も思う。

たっくんは、そういうところあるもんね。


特に今は仕事でストレスがあって、ゆかりともうまく行ってないから、心配になる。


携帯は見ちゃだめ。


ただの女友達でも怪しく思うから。





「別れたいなら、見ればいいよ。よく、安心したいから携帯見るって女の人いるけど、それって相手のことを信用できていないってことだろ?」




2人だとこういう話をしないから何か新鮮。


先生の言葉って、改めて、説得力があるなぁって思う。




「俺の携帯なんて、直専用だからな。いくら見ても何も出てこないけど」




先生は、ポケットから携帯を出し、私の目の前で揺らした。




「そういえば、たっくん、いつか携帯電話を池に投げたんだよな」



「あははははは、懐かしいね~。いろいろあったんだね、私達も」




長く付き合っているといろいろなことがある。



今はこんなにうまく行っている私と先生でも、2回別れているんだもんね。



もうだめだって何度も思ったし、先生が遠く感じたこともあった。