ゆかりは、時々食べる手を止めながら、たっくんとのことを話した。


その表情は、時々は悲しそうで、時々は嬉しそうにも見えた。





ゆかりは、たっくんが好き。



それは伝わってくる。



でも、ゆかりは今、自分がたっくんの為に何ができるのかわからないようだった。


必要とされていないんじゃないかという不安が、ゆかりを追いつめているのだろう。




私も聞いてみたかったことをゆかりは先生に聞いた。





「先生も社会人になりたての時って、彼女のことほったらかしにした?」



先生はゴクンとのどを鳴らしてオレンジジュースを飲んだ。


そして、隣にいる私を少し気にしながら答える。




「ほったらかしってことはないけど、確かに優先順位が下がる。男にとって仕事って一生のことだし、負けたくないって気持ちもあるから、必死だった。俺の場合は、上の人にヘコヘコするのが嫌いだから、平気で誘いを断ったりしてたけどな。でも、それで痛い目にあったこともある。たっくんはみんなにいい顔ができるから疲れるんだろう。でも、それがたっくんの良い所でもある」




見たかったな。


先生の教師1年目。



必死な先生に会ってみたかった。