「直と先生見てると元気になれるよ。もう私ここに住もうかな」
「それは大迷惑だな。俺と直の間には誰も入れないからなぁ」
今日の先生は、いつもと違う。
ゆかりを元気付ける為なのか、恥ずかしくなっちゃうセリフをバンバン言うんだもん。
恥ずかしいよ。
「で、食べながら話す?食べた後話す?ドロドロ過ぎるなら、食後に聞くけど」
先生は、首を少し傾けて、ゆかりの方を見た。
「う……どうだろう。食欲なくす話かも知れない。でも、もう元気になったから話す!!」
ゆかりと先生の関係も私はとても好きなんだ。
高校時代からなんだけど、先生もゆかりにお世話になっていたせいもあって、ゆかりが上から目線で先生に何か言ったりするのが面白いし、先生はゆかりに頭が上がらないんだ。
先生はパエリアのえびの皮をむいて、私の口へ運ぶ。
「あ、ごめんごめん。中田の存在忘れてた」
「先生!!!ちょっと!!いちゃつきすぎ!!」
先生は全部計算しているんだと思う。
ゆかりが喜ぶって知っているから。
ゆかりは私を本当に大事に思ってくれているから、例え自分の恋がうまく行っていなくても、私が幸せだと喜んでくれる。
だから、目の前で、私と先生が仲の良いところを見せると、すごく嬉しそうな顔をする。