「帰って来た!!」
先生の車のドアの閉まる音。
結婚してから、この音だけははっきりとわかるんだ。
「よくわかるね~!さすが、先生ファンだね!」
ゆかりに感心されながら、私は玄関へと向かった。
―ガチャ
「ただいま。遅くなってごめんなぁ。せっかく中田来てくれてんのに。いらっしゃい!」
疲れた顔した先生が、無理して笑顔を作る。
「直といっぱい話せたから良かったよ。先生、大変だね~」
先生は荷物を置いて、靴を脱ぐ。
黒いジャージのズボンに、白いポロシャツ姿。
「学校、大変なの?」
私は、先生の鞄をリビングへと運びながら、先生に声をかけた。