「ゆかりは、今の会社の男の人とか見て、どう思う?」
部屋に香ばしい香りが漂う。
もう9時前になっていた。
「全然ときめかない。年上の人とか頭も良くて、かっこいい人もいるのに。そういう対象には見る気がないんだよね。もう、私には決めた人がいますから、みたいな心境で……」
「そうだよね。私も、先生以外の人に男を感じない。不思議だよね。でも、そこまで好きになれる人に出会えた私達って幸せだよね」
ゆかりは、そうだよね、と言いながらホットプレートの上のえびを箸で転がした。
その時、先生からの電話が鳴った。
今から帰るよって言った先生の声、少し疲れている気がした。
何かトラブルとかあったのかな。
大丈夫かな、先生。
私が嫉妬しちゃうせいで、先生は悩みを言えずにいるのかも知れない。