「責めたつもりなかったのに、追いつめちゃったのかな。全然目を合わせてくれなくてイライラしちゃったんだよね。私、結局たっくんのこと信じてないのかも知れないね。」



ゆかりは遠い目をした。



「話し合ったのは良いことだと思うよ。いくら忙しくても、大事な人を大事にする努力はしないとだめだと思う。目を合わせてくれないってことは、たっくんも申し訳ないなって思ってるんじゃない?」




ゆかりは、しばらくたっくんと距離を置いてみようかなと言った。


先生がここにいたら、きっと反対すると思う。



距離を置こうと言って、その後別れるカップルは多い。


距離を置いて、『いなくても大丈夫かも』って思った時、もう戻れないんだよ。





私は、時計を見て、立ち上がった。




「先、食べようか」



パエリアの準備をしたホットプレートをテーブルに運び、火をつけた。