1ヶ月前、ゆかりとたっくんはラブラブだった。
私と先生の結婚式をあんなに盛り上げてくれて、ゆかりも早く結婚したいって話していたのに。
「別れて欲しくないよ……」
「ありがと。直…… 実際私も、別れることなんて絶対できないと思うんだ。やっぱりたっくんが好きだし……」
ゆかりの目から涙がこぼれた。
ゆかりははっとして、ハンカチで涙を拭いた。
「電話やメールが少ないのは、やっぱりそこまで気が回らないって言ってた。体力的に忙しいこともあるし、いつも仕事のことが頭から抜けていないんだって。だから、私のことを優先させていないことは認めるって謝ってくれた」
そうだよね。
私やゆかりもこの春から社会人になって、初めてのことだらけでいっぱいいっぱいだった。
たっくんも社会人1年目。
男の人だし、私達よりももっと大変なんだと思う。
社会人になってわかったことがたくさんある。
ゆかりも私も、飲みに行く機会が増えたし、付き合いも大事なんだと知った。
先輩からご飯を誘われれば、喜んで行く。
上司から飲みに誘われることもあって、それを毎回断るわけには行かない。
私の場合は、結婚しているからって真由美さんが気を使ってくれるけど、独身のゆかりは月に何度かは飲みに誘われると言っていた。
「わかるんだよね。自分も働いてみて、付き合いが大事だってことは……」