「仕事の愚痴をね、最初はよく言ってたんだけど。今は全然言ってくれない。背伸びしてるっていうか、強がってるっていうか…… 私と一緒にいても、たっくんは違うことを考えてる感じがする」



ゆかりはまたブレスレットに触れた。




「同期の女の子の方が話しやすいんだと思う。私に仕事の悩みなんて話せないし、弱い自分を見せたくないんじゃないかなとも思う。でも、彼女としては、それってどうなの?って思っちゃう」



「たっくんに、今のゆかりの不安な気持ち伝えた?」




ゆかりは、コクンと頷いてから、携帯電話を取り出した。




「考えさせてって昨日言われた。何を考えるのかわからないんだけど。さっき、こんなメールが来た」



ゆかりの携帯の画面のメールを見た。



【今の俺じゃゆかりを幸せにできないのかな】




「遠回しな別れ話だよね?コレ。直はどう思う?」