「教師としては、そこまで慕われると嬉しい。でも、俺とのデートを一生の思い出にするなんて、お前まだこれからいっぱい恋するのにもったいないぞ?」
「新垣和人とデートできるなんて、友達に言ったらみんながうらやましがりますよ!」
う~ん。
話が噛みあわない。
こんな時に考えることじゃないけど、俺と直って……本当に話がよく合った。
いろんな生徒がいたけど、直とは特別気が合うっていうか、話がどんどん盛り上がるんだよ。
それに、会話の『間』とか、笑いのツボとかも、不思議とピッタリで。
廊下ですれ違った時に、ちょっと俺が冗談を言ったりすると、ちゃんと理解してくれて次に会った時に、同じように俺に冗談を言ってくれたり……さ。
俺が直を女性として意識するずっと前から、俺は直と『合う』って思ってたんだ。
俺が言いたいことが10あれば、直は3くらいで全部理解してくれた。
それ以上かも知れない。
俺自身も気付いていない俺の気持ちを直はわかってくれていた。
って、こんなことを今思い出している場合じゃないんだけど。