教育実習生は、高校へ遊びに来ているわけじゃない。



仲良くなることには大賛成だけど、きっちりと線を引くべきところは引かなければいけない。



「おい。お前ら、先生は友達じゃねーんだぞ」



俺の声がいつもより低かったからか、生徒達は一気に静まり返り、目を伏せた。




「別に怒ってるわけじゃない。すまん」



俺は、金森を連れて教官室へと向かった。





「新垣先生、どうしたんですか?」



今日一日接してみて、金森は少しだけ場の空気を読むのが苦手なようだ。


今も、クラスの生徒の方が空気を読んで静かになったのに、金森はテンションが高いままだった。




「あのな、最初に言っておくべきだったけど、お前はまだ教師じゃないけど、生徒達にとってはもう教師と同じなんだ。だから、いくら歳が近いからって友達になっちゃいけない。友達みたいに何でも話せるっていう存在になるのは良いが、完全に友達になってしまうのは良くない」




金森はイマイチ俺の言いたいことがわからないようだった。