「え~っと。今日から教育実習に来てくれることになった金森三恵先生だ。この高校の卒業生で、俺の教え子でもある。運動神経抜群で、明るく優しい先生なので、2週間で金森先生からいろんなことを学んで欲しいと思ってる。じゃ、一言」




教室の隅っこで緊張気味に立っていた金森。


元気がないのは俺のせいだけど……




「金森三恵と言います。将来は、新垣先生のような生徒に慕われる体育の教師になりたいと思っています。短い間ですが宜しくお願いします!」



生徒達の反応は上々。



お調子者が多いクラスなので、すぐに仲良くなれるだろう。



俺が思った通り、金森はその日の放課後には人気者になって生徒達に囲まれていた。



しかし、俺が思っていた『仲良く』とは違う『仲良く』へ向かっているようだった。





勉強や部活、進路の悩みを相談しているのかと思って、俺が近付くと、女子数人がキャーと声を上げた。




恋の話でもしているんだろうと、俺はごめんと謝り、教室から出ようとした。





「金森先生、早く行かなきゃ!チャンスチャンス!」


「頑張ってね~!金森っち!」




生徒の声が聞こえた。