「そっか。一足遅かったってことか。気にしないで。別に先生に会いたくて教師になりたいわけじゃないから。私も、好きな人いるし!!」




強がった発言なのか、本心なのか……


どっちだろうと金森の顔を見た。



強がりだったようだ。


明らかに悲しい表情をしていて、見る見るうちに目に涙がたまっていく。




「でも、こうして本当に教え子が教育実習に来てくれると嬉しいもんだよ!」




こんなことを言っても、無駄だけど。




これから2週間、一緒に過ごすわけだし……


いい関係でいられたらと思う。




「俺のクラス、かわいい生徒ばっかりだから安心しろ」



俺は金森にバレないよう、机の上の直との写真を隠す。


直の卒業式の写真だから、別に怪しいわけじゃないのに。




「バスケ部のコーチもするんだろ?あとでバスケ部の顧問の先生紹介するよ」




俺ばっかり喋ってる。


俺、動揺してる。