「今、たっくんの愛情感じない?」




「会えば、愛されてるなって思うんだ。でも、メールの返事も遅いし、毎晩帰りも遅いし…… 仕事だけじゃなく飲み会も毎週あるし。それに、今年入社した仲間とフットサルのサークル作るとか言ってるし。それに……それに……」





ゆかりは、相当ストレスがたまっているようだった。


アイスミルクティーをストローで一気に吸い上げる。



「同期のみんなと仲良くて、メールや電話もしてるみたい。上司や先輩との飲み会だけじゃなくて、定期的に同期の子とも飲みに行ってて、その中に女の子もいてさ……」




先生もちょっと心配していたんだ。



たっくんは、誰にでも優しいから入社してすぐの頃は人気者になるだろうなって。


でも、本気でゆかりを想っていれば、ちゃんと先生みたいに壁を作れるはずなのに。




「八方美人だからね。たっくんは……」



ゆかりは、もうなくなってしまったミルクティーをストローでズズっと吸った。



大きなため息をついたゆかりは、迷路に迷い込んでしまったような不安な表情をしていた。