ハヤトは後ろに居るかなり上背のあるスキンヘッドの男に声をかける。

「はいよ。加勢はどうするハヤト?」

ドラゴンはトウマの肩に手を置きながら、ハヤトに声をかける。

「愚問だな…ドラゴンは周りを見張ってくれればいいよ」

「了解」

ハヤトの登場により、周りの顔色が一変した。当然だ…二中のハヤトと言えば、この地域に住んでいる同世代では伝説になっている男なんだから。

「久し振りだな加賀…元気だったか?」

ハヤトは無表情で加賀に話しかける。どうやら顔見知りのようだ…。

「おっおう。ハヤトも久し振りだな!いつ帰って来たんだ?」

「ついさっきだ…ついでに、事情も学校に居た女の子に聞いた」

ハヤトは首の骨や手首の骨などを鳴らしながら、ケンカに備えていた。

「そっ、そうかい!いやぁ俺達の学校同士のケンカって、伝統みたいなもんじゃないか?だからケリをつけようと思ってさ!」

「そうか…」

ハヤトは、最後にレザーのジャケットを脱ぐと、マリコめがけて優しく投げた。

「預かっててくれ…」

「うん…」

マリコはそのレザーのジャケットを受け取ると、トウマの元に駆け寄り、トウマの上着を肩からかけていた。

「なぁハヤト。お前はもう二中とは関係ないんだよな?」

「あぁ…」

ハヤトはゆっくりと加賀めがけて歩いて行く。

「だったらハヤトはこのケンカに関係ないんだよな?」

「………」

ハヤトからの返事は無く、相変わらず、ゆっくりと加賀に近づいて行く。