「そうだ!先生なら…」

「…無駄だよ」

「えっ?」

リカは名案が浮かんだと思い、学校に戻ろうとすると、一人の男子生徒に呼び止められた。

「一体彼等が、何分校門でもめてたと思ってるのさ。普通あれだけ騒げば先生の一人は気付いて駆けつけるはずでしょ?でも誰も来なかった…それが答えだよ」

男子生徒はそう言うと、家路に向かって歩き出した。

「そんな…じゃあどうすれば」

どうすれば…というか、もうマリコ方は何所に行ったかもリカには解らないのだ。

「どうしよう…マリコが」

散々悩んだリカだったが、結局答えは出なかった。取りあえず、此処に居ても仕方ないと思い、校門の方に下を向きながら歩いて行く…すると。

「ねぇ君!ちょっと聞きたい事があるんだけど?」

「っ!?」

今日は厄日だとリカは思った。リカに声をかけてきた人間は、リカより頭一個分以上背が高く頭にドラゴンの刺青を入れた怖そうな人間だった。











「さぁて始めるか!用意は良いかトウマ…」

「いつでもいい。かかってこい」

此処は、町の河川敷にある橋の下。道路からも対岸からも見えない、絶好のケンカスポットである。

昔から暗黙の了解で、この場所には警察は来ないらしく、思う存分ケンカを楽しめる場所である。

トウマは学ランの上着を脱ぐと、適当に地面に置いて臨戦態勢を取った。マリコはそんなトウマの上着を地面から拾い上げ、汚れない様に抱えていた。

そんなマリコに笑みを返すとしっかりと相手を見据えた。