ミカちゃんにも何も告げず居なくなり、正直お手上げ状態だ。でも、探してみせる…人間やって出来ない事はないはずだからな。

「それと、時期をみて、マリコちゃんの元に顔出してやれよハヤト。きっと、ハヤトに会いたいと思っているはずだからよ…」

「あぁ、でもまずは、臨時マスターとして結果を残してからじゃないと…」

俺のプライベートの事はそれからだ。今は問題が山住だしな…。

「かぁー!ハヤトはマスターの鏡だな!俺もそろそろ引退かねぇ…」

「銀二さん…引退して何の仕事する気なの?」

「んっ?俺か?……ヒモ」

「「………」」

俺はこんな人間に憧れていたのか…。俺とヒサジは明らかな軽蔑の視線を銀二さんに送っていた…。

「だぁっと!?お前ら冗談だぞ?本気にするなよ?俺がそんな甲斐性無しに見えるか?」

「「………」」

「…黙んなよ!」

俺とヒサジはこの時ばかりは久々に声を大にして笑ったんだ。いつも着飾っていた不良という衣を脱いで、本来の素の表情で…。

「この野郎…大人をからかうなっつうんだよ!…そろそろ行くかヒサジ?」

ふてくされた様な表情から一変、銀二さんは、年齢を感じさせない柔らかい笑顔を携えながら、ヒサジに問いかけた。

「うん、お願い。……またなハヤト」

ヒサジはしっかりと返事を返すと、俺に右手を差し出す。

「おう、またな…」

俺はその手を握り、別れの挨拶を済ませた…。

俺達にはこれで十分。また近いうちに会う事になるはずだから…。