俺はこの日から多忙な日々を過ごした。

ジンとゲンがこの町から去って事により、混乱が更に増したのだ。さらに、ヒサジもこの町を去る事を公言した事により、中学生地区の均衡が崩れ、群雄割拠の戦国時代が始まろうとしていたのだ…。

俺は、縄張りを改めて決め直すべく、レガシーやデスの残ったメンバー(何人かはジンやゲンが居なくなるのと時期を遅らせ居なくなった)と話し合いを重ね、改めてリーダーを選出するなど、ミツハルに協力してもらいながらも、中学生地区の治安を保つのに大忙しだった。

そしてジン達が居なくなった日から一週間が経ち、ヒサジがジャッジタウンを離れる日が来た…。

「元気でなヒサジ!もう戻ってくんなよ…」

しみったれた挨拶は抜きだな、俺達には似合わねえ。途中まで、銀二さんが送って行ってくれるらしく、赤いスポーツカーに乗り込んだヒサジが窓を開け、俺に話しかける。

「冷てぇなハヤト!…でもこんな時期に本当に」

「ストップ!そんなセリフ聞きたかねぇな。どうせなら、サヨちゃんを絶対に幸せにするってセリフの方が俺は聞きたいね…」

俺は出来るだけ高圧的な態度を出し、ヒサジに激励をした…まぁちょっと。

「キザッたらしいな…」

ですよね…ヒサジは目ざとく俺に言い返してきた。

「うるせぇ!んでどうなんだよヒサジ!」

「あぁ、絶対にサヨを幸せにしてみせるよ…任せとけ。それはそうと、タケシの事なんだが…」

「あぁ、それも俺に任しとけ…絶対に見つけ出してやる」

そう…タケシを病院に送って以来、あの日から行方不明なのだ。どうやら夜中に病院を抜け出し、そのまま行方が分からないのだ。