俺の驚きをよそに、ヒサジはジンの話に割り込みだした。

「それが困るんだよ…身元を調べられるとね。最悪、俺とゲンがマスター達に捕まってしまうかもしれないから」

「ゲン!…もういいだろう。話過ぎだ…」

我慢して聞いていたゲンだったが、どうやら限界らしく、ジンの話を無理やり遮った。

「おっと…話過ぎちゃったかな。ごめんねゲン!」

あはは、と笑いながらゲンに謝るジン…全く誠意を感じない謝り方で。

「話はこれで終わりだ。俺達はもう町をでる…迎えも待たしているしな」

ゲンは腕時計を気にしながら、最後の方は呟くように声を出した。

「もうそんな時間か。じゃあ本当にもう帰るねハヤト!機会があったらまた会う事もあるかもな…」

ジンはそう言うと、玄関の方に歩いて行った。後ろから続くように、ゲンも歩いて行く。

「ちょっと待ってくれジン!最後に一つだけ教えてくれ…お前等はどんな人生を歩んできたんだ?」

俺は、どうしてもその事が気になる。

俺は、まだ15年しか生きていないが、まともな人生なんて歩んできてはいない。ケンカも腐るほどしたし、まともに勉学に励んだ事なんて一度もなかった。

だからこんな人間になってしまったんだが…じゃあジンやゲンはどんな人生を歩んできたんだ?

切れる頭に、確かな格闘技の技術や知識。恐らく、学校に行けと言われればゲンはともかくジンは普通の生徒を難なくこなせたはずだ…。でも、この二人は、13歳の頃からこのジャッジタウンで生活をしている。

どう考えたっておかしい…。