いや、タレこみは別にいい…問題は。

「マスターを恐れる理由はなんだ?」

俺よりも先に問いかけたのは、ヒサジだった。そう…マスターを恐れる理由が解らん。

ジャッジタウンの住人にとって、マスターの存在は、恐れる存在ではない。俺達はもちろん、他のみんなもマスターの人間に生活をサポートしてもらっている…感謝はすれど、恐れる存在ではないのだ。

「それはね…」

「ジン、じゃベリ過ぎだ…そこまで話す義理はない」

ジンが理由を話そうとした時、ゲンが止めに入ってきた。その眼にはありありと警戒の眼差しを俺達に向けながら…。

「そうだね…話す義理はないか。まぁ君たちには関係がない事だから、気にしないで…って言っても気になるよな…うーん・・・一応ヒントだけ教えておくよ」

「ジン!」

今度は、ジンに苛立った視線を向け、勢いよく止めに入る。

「大丈夫だってゲン!俺にまかして…まず一つは、俺達はある目的があってジャッジタウンに来た。そして、その目的はもう達成した…だからこの町を離れるんだけど、昨日の今日でこの町を離れるに至った理由のヒントは、俺達の存在にある」

「…ふぅ」

ジンはすらすらと結構なヒントを出している様に感じる。ゲンの深いため息を吐いた様子を見る限りはな…。

「俺達は年齢的には未成年。そのことやジャッジタウンの設備を考えると、俺達の身元を調査する人間が居てもおかしくない気がするんだ…廃人寸前まで追い込まれた子供を迎えに来る親が居る事とかも考えるとね…」

「………」

…当たっている。昨日ミツハルが俺に話してくれた内容とピッタリな。

「だが、この町は来る人間も去る人間も多い…だからこれまではジャッジタウンの住人全員を調べるまでの余裕がなかったはずだけど、今回の事件で事情が変わった。これからは、身元調査をする人間をもっと増やしてデータ管理をしっかりやるはずなんだ」

「別に管理されて困る事はないだろう。お前等の親がよっぽど過保護じゃないかぎりな…」