「さて…と。じゃあ取りあえずヒサジは、中学生地区に戻ろうか。日も暮れてきたし、後数時間もしたら、入口のゲートも閉まっちまうからな。」

ドラゴンは、話の区切りがついた所で、壁に掛けられている時計を気にしながら俺に言ってきた。

「このまま、高校生地区に居たら駄目なのか?」

「原則、高校生地区と中学生地区の人間は接触する事は禁止になっているからな…今回は事情が事情だったからヒサジが高校生地区に来る許可は下りたが、高校生地区での寝泊りの許可は出なかったんだよ。まぁ、こればかりは、従って貰うしかないな…」

確かに俺が高校生地区に居ること自体が、異例中の異例だからな…高校生地区に来れただけでも良しと思うしかないな…。

「そうか…まぁ仕方ないか」

この町に済んでいる以上、ルールには従わないといけない。俺は中学生地区に帰るための準備を始めた…。

とは言え、特に荷物のなかった俺は、簡単な手荷物などを確認した後、帰ろうといたら、カズヤが大きな声で話かけてきた…。

「なぁヒサジ!俺と一緒に…」

「解ってるよカズヤ…一緒にサヨの元に帰ろうって言いたいんだろ?」

もともと、カズヤは俺を連れ戻す為にジャッジタウンに来たんだ。カズヤの言いたい事は聞く前から解りきっていた…。

「そうだ。サヨの記憶を取り戻す為にはヒサジの協力が必要なんだ…一緒に帰ってくれるか?」

「あぁ…でも、帰る前に色々としないといけない事がある。だからカズヤは先にサヨの元に帰っててくれないか?」

サヨの記憶を取り戻す為なら俺はなんでもしよう。でも、ハヤトやタケシに何も言わないでジャッジタウンを離れる訳にはいかない…。