初めの2、3日は常に監視をされていた俺だったが、一週間も経つと監視の目は緩くなってきた。作戦をしっかりと錬れば脱出する事も出来る様な気もするが、俺はタイミングを逃しつつあった…。

その最大の理由がこの二人…ヨウスケとサギリにあった。

この2人は言ってしまえば俺と同じ境遇だと気づいたからだ。この二人は何かに脅えている…というか誰かに弱みを握られていると思うのだ。

此処の場所についてや目的などは聞いても教えてくれないが、たまたま聞いてしまったんだ…もうこんな事辞めたいと言っているサギリの話声を。

そんなサギリをヨウスケが宥める…「もう引く事の出来ないところまで来ている」と言って。

一体俺の身に何が起きようとしているのかが解らない…予想もつかない。でも俺に出来る事が何もないのも事実だった。

「俺の身に起こったのはこれだけだよヒサジ…俺はこの後、しばらく監禁された後、ドラゴン達に今日の朝救出されたんだ。サギリとヨウスケがこの後どうなったのかは俺には解らない。ある日を境に俺の前から居なくなったから…」

カズヤがどういう経緯でこの町に来たのかは理解出来た。誰かがカズヤをそそのかし、このジャッジタウンに連れてきて何かをしようとした。恐らくその思惑の渦中に居るのは俺だろう…。

でも何故カズヤなんだ…それに。

「…ところでカズヤ。ジャッジタウンに来る前に、孤児院に手紙を送ったりしたか?」

「手紙?…送ってないけど。手紙ってなんだ?」

やっぱりか…今のカズヤの話を聞く限り、手紙の件が何もなかった。俺がカズヤが犯人だと勘違いするきっかけにもなった、カズヤが孤児院に送ったとされていた手紙。

「院長先生が孤児院宛てに、カズヤから手紙が来たと言っていた…俺を連れてサヨの元に行くと書かれた手紙がな」

「はぁ?俺はそんな手紙何か送っていないぞ?」