突然のジンの言葉に皆が一様に驚いている様子だ…若干一名を除いて。

「なんとなくだがそんな気はしていた…『あれ』が気になっているんだろうジン?」

元デスのリュウは、この部屋に居る誰よりもクールに窓の外の方を指差した。だが、外には誰もいない様に見える。

「流石リュウだね。ゲンが一目置くだけの事はあるよ…まぁ理由はその通りだよ。あれが原因さ。外で隠れて俺等を監視している誰かさんが原因さ」

ジンの言葉を合図に、数人が窓の外に目を配り、外をうかがった。良く見ると、物陰から人の影の様なものが見え、こちらの視線に気づいた誰かはそのまま反対方向に歩いて行った。

「恐らく彼等は俺とゲンの調査をしているんだよ…身辺調査をね」

「…所でなぜ、ジンとゲンの身辺調査だと言いきれるんだ?此処にいる全員の調査かもしれないだろう?」

リュウの言い分は最もだった…。こちらの様子を伺っているのは間違いないとは言え、ジンとゲンだけとはこの状況だけでは言い難いだろう。

だがジンには確信があったのだ。それは…。

「それはまず考えられない…俺やゲンの調査以外をする意味がない。」

「だから何でそうだと言いきれる?」

「それは、俺とゲン以外の全ての人間の情報は簡単に入手できる筈だからさ。この町が日本政府の直轄事業なら、個人情報を集めるなんて朝飯前な筈だからね…きっと、君達の両親もこの町に居る事を知っているはずだよ。」

ジンの考えは、マスターしか知らないはずの情報も含んでいた。出来る限りの全ての情報を自分の元に集めて、推理し出た答えが必ずしも正解とはいかないのが人生…でもこのジンと言う男の前では、隠し事は通用しないのかもしれない。

「話は解った…それでも」

「ジン…お前は勿体ぶりすぎだ。リュウが困っているぞ…」