まず事件の犯人はこの町の住人ではないと言う事。

そして最近、またはここ一ヶ月以内にこの町に足を踏み入れた新参者が起こしている事だと言う事。

男女問わず、複数人の人間がこの事件に関わっているのに、情報が何も出てこなかったところを見ると、かなり計画的に物事を進めていると言う事だ。

「まず俺が最初に考えたのは、タケシが率いるチームを罠にはめる事だった。レイプ事件の事を調べているようだったし、騒乱を起こすのに一番適した大きなチームだったからね…でも俺の計画よりも先に動いたのは犯人達の方だった。犯人達は、ヒサジを犯人に仕立て上げ、俺達より先に動乱を起こそうとした…そしてボロを出したんだ」

この時にジンは、違和感を感じたんだ…。犯人の意図の断片を掴んだ気がした。

「犯人達は間違いなくヒサジを犯人に仕立て上げるのが計画の内だったんだ。でもそれは失敗に終わった…多分計画に支障が出たんだ。その原因が俺達の計画だった」

「…ちょっと話が見えないんだが、ジンの計画が犯人達の計画とどう関係するんだ?」

元デスのリュウが此処で口を挟んだ。デスのナンバー2だったリュウはゲンの命令でいくつか動いていたが、それでも話が見えなかったのだ。

「今から説明するよ。まず、デスの人間…まぁ人選はゲンに任せたけど、ゲンにはこう頼んどいたんだ、『ハヤトの動向を調べてくれ』ってね。この事自体に理由は対してなかったんだ…俺が知りたかったのは、犯人の出方だ…」

「出方?」

「そう、黙って見ているだけでは犯人の思うつぼだからね。目的が確定していない以上、いくら俺でも、犯人の狙いを特定するのは容易ではない。だから、犯人に一番近い存在の周りで事件を起こそうと思ったんだよ。そうすれば、なんかしらの動きを見せると思ってね…そしてその一つが網に引っ掛かったんだ」