そう言うとジンは、今回の事件の説明を始めた。

「まず今回の事件は、単なるレイプ事件が始まりだった。被害者も加害者もいない噂だけのね…その時点でおかしかったんだけど、この町では常識が通じないから、安易な考えは出来ない。だから俺はゲンにも命令を出して事件の真相を調べ始めたんだ。」

今回の事件、誰よりも先に調べだしたのはジンだった。中学生地区のトップに居るジンの元には色々な情報が集まってくる。それは、ジンがこの町で二年の間に築いてきた人間関係によるものだった。

そして今回の事件。ジンの推理は見事に的を得ていたのだ。

「表面上、手がかりと言える情報は何も集まってこなかった。でも、それが今回の事件を解くカギになったんだ」

何かが起きているのは間違いないのに、何も情報が降りてこない。そしてその時間が長ければ長いほど、人は疑心暗鬼になっていく。

それが今回の事件を解くカギ。

「レイプ事件というのは敵が仕掛けたタダのフェイクで、本当の狙いはこの町で騒乱を起こす事…だったら答えは簡単だ、自分達でわざと事件を起こせばいいんだよ。敵の狙いにわざと乗って事件を起こす。でもここで一つ問題が発生するんだ…それは」

「チーム内に犯人の内通者が居る…だろジン」

ジンが答える前にリュウが答えた。その言葉を聞いたジンは妖しい笑顔でうなずく。

「そう、事件の中で見え隠れしている内通者の存在が解ったのさ…それも複数人ね。それが俺にとって一番のネックだった。裏切り者の存在は、これから俺達がやろうとしている計画の一番の弊害になる恐れがあったから…だから今回の事件を解決出来る様に俺が動いたのさ。」

ここでジンは解りやすい様に紙を取り出し、説明を始めた。

紙に書かれている内容を要約するとこうだ。