俺には親がいない…そう考えるのが俺にとっての親孝行。そう思う事で自分に嘘をついて生きてきた。

自分の意見を正統派にするのは簡単だったからな…。ただ考えなければいいんだ。
ケンカをしている間は自分の不都合な点を考えなくても良かったから。

でも…俺もそろそろ変わらないといけない。

俺は不良だ。それは簡単には変えられない、でも不良の俺にだって普通の事が出来るはずなんだ。

「そうか。話は解った、だからそろそろ本題を聞かせてくれ。今回の事件、一体敵は誰だったんだ?」

そろそろ本題を聞かないと、時間も時間だ。夕暮れだった空模様も、話し込んでいるうちに、夕暮れ時になってきた。

俺自身は何時になっても構わないが、ミツハルや銀次、それに前田さんには他にも仕事が残っているはずだから…。

俺の発言を聞いたミツハルは解ったと前置きを置いて、静かに立ち上がる。そして、笑顔とも取れるミツハルの普段の表情から笑顔が消えたんだ。

「今回の事件の犯人は……日本政府だよ。つまりは政治間でのいざこざが全ての始まりだったんだ」








「この町は日本政府が作った町…だと?」

皆が一様に様々な表情の変化を見せていた。ある者は信じられないと表情を濁し、ある者は冷静にジンの言葉に耳を傾けていた。

「そう、この町の管理システムや、町の完成度は個人や一企業に出来る範囲を明らかに超越している。これだけ大きな町なのに、テレビで報道をされている所を見た事がない…明らかに報道規制をかけているし、巨額の金が動いている。」

「…でも、そう判断した理由は他にもあったんだろジン?」

チームが解散した以上、今は上下関係がまったくない。レガシーの側近でもあったシンジは、いつもの丁寧な口調ではなく、くだけた話し方。つまりは、ジンと出会った当時の感じでジンに話しかけていた。

ジンはジンでシンジのその態度に怒っている様子はない。

「まぁね、昨日までは疑惑だったよ。でも今日のケンカで確信に変わった…今日の銀次の発言や、敵の正体を見てね」