「納得のいかない…そんな顔をしているねハヤト。俺の両親がそんな事考えている訳がないってそう考えているでしょ?」

「まぁ…な」

やはりここで俺の表情の微妙な変化に気づいたのはミツハルだった。

「確かにハヤトの両親の考えは、一度しか会った事が無い僕には解らない。でもハヤトの両親は、ハヤトの事を嫌いになってはいないのは間違いないよ…」

ミツハルはそう言うと、鞄から何かを取り出し俺に差し出した。それは一枚の写真…最近撮ったヒサジやタケシ達と撮った写真だった。

「これはハヤトの両親に送っている写真の一枚なんだ。定期的にハヤトの様子を連絡するついでにハヤトの実家に送っているんだけど、たかが写真一枚でいつもお礼の電話を僕宛にくれるんだよ…とても嬉しそうにね」

ミツハルがそんな事を俺の両親にしているとは思わなかった…。

確かにいつもミツハルは、俺達の写真を撮りに来ていた。「僕の趣味なんだぁ♪」とか言いながら俺達を…別に嫌じゃなかった俺達は、ミツハルの写真撮影に付き合っていたんだ。

「………」

ミツハルに両親の裏話をされて俺は、正直戸惑っていた。

親との思い出は、記憶の奥底に隠していた俺の過去その物。ヒサジに比べたら大した事じゃないがな…。

無茶ばかりしていた昔の俺の一番の被害者…それが、俺の両親だ。俺の代わりに学校で謝り、警察に謝る両親は一番の被害者なのは俺も気づいていた。

頭を下げるのがカッコ悪いと思っていた俺。
ケンカが強ければ、他はどうでもよかった俺。
誰かに頼るのは弱者の行為だと思っていた俺。

…本当は両親に謝りたかったのに、頭を下げる度胸がなかった俺。

プライド…その言葉で片付ければ、聞こえは言いが所詮は頭を下げる度胸がなかったチキン野郎。それが、昔の俺であり、今の俺だ。