そんな同様している俺にミツハルは話を続けた。

「いくらハヤトが大人っぽいと言っても年齢で言えば未成年でしかも中学生、どんな理由があろうとも親元を離れて暮らすには、両親の許可が必要なんだ。ハヤトに限らず、この町に暮らすみんなの両親には事情を説明しに行かないといけないんだよ」

「…俺の両親はなんて言ってたんだ?」

正直聞きたくもないが、一応気になるしな…。

俺は、ミツハルに両親に会った時の事を聞いてみた。

「お母さん凄く心配していたよ。ちゃんとご飯は食べているのかとか、怪我はしていないかとかね。お父さんは、一言こう言っていたよ…『息子を頼みます』とね。二人とも凄くハヤトの身を案じていたよ」

母さんが俺を心配?父さんが俺の事を頼むとミツハルに言った?

「それは嘘だな。俺の両親がそんな心配をする訳ない…俺はあの家の厄病神だったんだ。居なくなってせいせいしている筈だ」

そんな心配する訳がない。俺の事なんてもう忘れている筈だからな…。

「それは違うぞハヤト君。」

俺の言葉を黙って聞いていた前田さんが、俺に言葉かぶせてくる。

「私には解る…どんなに出来そこないの息子でも、自分の子供を可愛くない親はいない。常に自分の子供の事を考え、どんな事があっても一番の理解者で居てやりたいと考えるのが親だ。」

前田さんは俺の眼をしっかりと見据えながら俺に話してくれている。親は自分の息子を嫌いに何かならないと…。

でも俺にはそうは思えない。前田さんが言ったのはただの綺麗事だ…前田さん自身はそう考えて生きてきたのかもしれないが、俺の両親が同じ事を考えているとは限らない。