ドアが開くと当然ながら、部屋の全貌が明らかになった…。

奥の全面が窓になっていて、薄暗くなってきている夕日が窓の全面に射しており、部屋の雰囲気を幻想的に彩っていると俺は感じたんだ…。

そして高級感溢れたソファーには一人の人物がでかい態度で居座っている。

言わずと知れたこの男がな…。

「よぉハヤト!待ってたぜ。」

銀二は俺に片手を上げて挨拶をしてきた。だらしなく着崩したスーツにくわえタバコと言う、この部屋には全く合わないスタイルで。

そしてこの部屋にはもう一人の人物が居たんだ…きれいに散髪してある頭、年齢を感じさせる顔のしわが、凄い貫禄を出しているこの男。

俺はこの男を見たことがあった。多分…いや、間違いない。

この人は…。

「…前田元総理大臣…ですよね?」

いくら社会を知らない俺でも流石に知っている。何年も国のトップに居た人物、圧倒的な支持率で任期満了まで国のトップに居た歴代最高の総理大臣と言われている人だ。

そんな人が何でジャッジタウンの複合地区に居るんだ?

俺は軽く混乱していると、前田さんは俺の前まで歩いて来ると、俺に片手を差し出した。魅力的な笑顔を浮かべながら。

「前田ですハヤト君。これからよろしくな!」

前田さんは明るいノリで俺に話しかけてきた。何かこのノリはどっかで見た事があるな…つうかさっき見た。

俺は前田さんに片手を差し出し握手をし、しっかりと握り返した。

「ハヤトです。こちらこそよろしくお願いします」