俺は今、ミツハルが乗ってきた車に乗っていた。

いつもミツハルが乗っている車ではなく、黒い高級車。俺は少し戸惑いながらも、ミツハルが乗ってきた車に乗り込んだんだ。

そして今は、中学生地区の出口方面に向かって車を走らせている…。

「いつも乗っている車じゃないんだな。この車はなんなんだ？」

俺は最初に気になったこのミツハルには不釣り合いな車について聞いてみた。

「この車は、ジャッジタウンの社用車だよ。ビップ専用のね…」

ビップねぇ…俺の事じゃないよな。

ミツハルはいつもの様に意味深な発言で、俺に疑問をプレゼントしてくれた。

だがミツハルはすぐに俺の疑問を解消してくれた。

「もちろんハヤトの為にこの車を乗ってきた訳じゃないよ。ある人を迎えに行く為に乗ってたんだ…その人はこのジャッジタウンを作った人物。そしてこれからハヤトが会う人物だよ」

ジャッジタウンを作った人物か…。興味はあるが、なんか話が飛び過ぎている気がする。

俺はただ、事件の真実を聞きたかっただけなんだが。

「そうか…まぁ会うのを楽しみにしておくよ。どうせ会うまで教えてくれないだろうしな」

「解ってるじゃんハヤト！まぁ、楽しみにしててよ」

ミツハルはそう言うと、実に楽しそうな表情を浮かべ、車を運転していた。

俺なりにこの一年で、ミツハルの性格は熟知したつもりだ。良い意味でも悪い意味でも人を驚かせるのが大好きなのがミツハルだ…。

そしてこのパターンは、かなりの大物人物が俺を待っているパターンだ…。

俺は移りゆく風景を見つめながら、高級感ある車のシートを堪能していた。