マモルは俺の返事を聞くと、頭を掻きながらこう答えた…。

「そうか…カズヤの知っているヒサジは『鬼神ヒサジ』の事だったか…」

「鬼神？なんだそれ…俺の解る言葉で教えてくれ」

俺はマモルの言っている意味が解らなかった…。

ただ解るのはマモルがヒサジの事について何かを知っていると言う事だ…。

マモルは俺の言葉を聞いても何も答えようとしなかった…。

「…頼むマモル！俺はどうしてもヒサジの行方を知りたいんだ」

黙して語らないマモルに俺は、畳みかけるように頼み込んだ。

するとマモルは、一度小さいため息を吐き、重い口を開いた…。

「…この写メに写っているのがカズヤの知っているヒサジなら、ヒサジはジャッジタウンに居るよ」

「ジャッジタウン？」

またしてもマモルの口から出た言葉は、俺の聞いた事のない単語だった…。

「ジャッジタウンは暴力と狂気が渦巻いた混沌の町だ…日本の法律が全く通じない不良の聖地と呼ばれている町。そして『鬼神ヒサジ』は中学生地区で最強と呼ばれている三人の不良の中の一人の名前だ…」

あのヒサジがそんなイカれた町の最強の不良？

全然想像が出来ない…。

「ちょっと待ってくれマモル！この日本に本当にそんな町があるのか？初めて聞いたぞ？」

マモルの表情を見る限り、ウソは言っている様には見えない…。

でも俄かには信じられない。

だってそうだろ…これだけ法律が厳しいご時世に、そんな町の存在が許される訳がない。

そんなのは映画の中だけの存在だろ？