俺は夢の中でもがいていたんだ…。

気の遠くなる様な時間を、夢の中で過ごしていた…小さい頃、俺が見ていた風景や出来事などが、夢の中で過ぎていく…。

幸せだった幼少期の出来事、悲しかった両親が死んだ出来事…知っているはずなのに夢の中の俺は、一喜一憂しながら夢中で暮らしていた…。

あの事件の日まで…。

孤児院でサヨとヒサジの帰りを待っていた…本当なら幸せな時間になるはずのクリスマスイブ。

そんな日に起きた事件。

俺はこの結末を知っている…。

頭から血を流しながら孤児院に駆けつけてきたヒサジ…。

俺は知っている…。

この事件の結末を…。

辞めてくれ…。

俺は…見たくない…。

だが、時は一刻と過ぎ…俺はケイタにナイフで刺された。

ヒサジが俺を呼ぶ声が聞こえる…腹部に激痛が走る。

意識が飛ぶ様な痛みや、手足の感覚がなくなっていく…そして俺は見てしまった。

サヨの発狂した姿を。

俺は大丈夫だよサヨ…だから心配するな。

口に出して言いたかった…。

でも…俺の体は言う事を聞かず。

意識を手放してしまった。