「うーん…話したいのは山々なんだけど、今は厳しいんだよね……ちょっと待っててハヤト!」

そう言うとミツハルは、受話器の外で誰かと話しだした…。

話声までは聞こえないが、複数の声が俺の耳に聞こええくる。時間にして3分ぐらい待つと、ミツハルが俺に話しかけてきた…。

「待たせてごめんねハヤト。…なんとか話が出来る時間は取れそうなんだけど、ひとつ条件があるんだ」

「条件?」

ミツハルは、うんと前置きを置いて条件を俺に話してきた…。

「…ハヤトがジャッジタウンの、臨時マスターになる事が条件だよ。それを聞き入れるなら今日中に説明出来る…どうするハヤト?引き受けてくれるかい?」

俺がジャッジタウンの臨時マスター?

「…ちょっと話が見えてこないんだが、どうして俺が臨時マスターになる必要があるんだ?」

引き受ける以前に、俺がマスターになる必要性が解らない。

「それは事件の真相を話す為には、ジャッジタウンの真実も話さないといけないからだよ…ハヤトは嘘の情報なんて聞きたくないでしょ?実は最初からマスターになることが事件の真相を話す条件だったんだ」

ジャッジタウンの真実…色々な憶測はあるが、誰も知らないジャッジタウンの真実。

それも聞く事が出来るのか…。

「……解った。引き受ける、だから俺に真実を教えてくれ」

不思議な事に、ハヤトは臨時マスターを引き受ける事に迷いはなかった…自分にマスターか務まるか自信はなかったが、マスターへの好奇心がハヤトを後押ししたのだ。

「了解、実は偶然にも中学生地区に居るから、10分でハヤトの家に迎えに行くよ…複合地区に案内する」

ハヤトは電話を切り、出かける支度をした…。