「…待て」

「っ!!見逃してくれるって言ったじゃないですか!嘘だったんですか??」

二人の顔に絶望の色が見える…。

騙された…殺される…ここで人生が終わる…色んなことを考えたに違いない…。

「そうじゃない…約束は守る…ゴミをちゃんと持って帰れ」

俺に言われて初めて坊主頭のことを思い出したんだろう…。

二人で両脇に抱えながら未だに気を失っている坊主頭を連れて、逃げる様にこの場を去った…。

トウマは唖然としながら今の光景を見ていた…。

さっきまで俺に暴力を加え、自分が王様だと言わんばかりの態度を取ってた奴等を、肉体的にも精神的にも一人でたたきつぶしたハヤトを…。

…格好いいと思いながら見ていた…。

俺は昔こんな奴にケンカを売ったのか…

命知らずもいいとこだ…。

「…生きてるか??」

ハヤトを唖然と見ていたトウマだったが、ハヤトに声をかけられて思考をストップさせた…。

「あ??あぁ!だいぶ良くなったよ!!助けてくれてありがとう!」

「…別に助けたつもりはサラサラ無い…ただあのハゲが俺の気に触っただけだ…」

ハヤトはトウマを見ずにぶっきらぼうに答えた…。

「でも理由はどうあれ助けられたのは事実だ!本当にありがとうな!!」

「………」

ハヤトは俺の言葉には答えず、変わりにポケットから写真を取り出しトウマに投げ渡した…。

「あっ!!写真…忘れてたよ!!でも無事で良かったぁ…」