「だからサヨちゃんの目には見えていたのよ、ヒサジ君の死んだ姿がね…」

先生の言っている事は恐らく当たっている。

『ヒサが死んじゃった…』

確かにサヨは俺が死んだとずっと連呼していた…。

「ヒサジ君が死んだと勘違いしただけでもサヨちゃんの心が壊れてもおかしくなかった…そんなサヨちゃんの目の前で…」

「カズヤがナイフで刺されて倒れた…」

俺は柏木先生が言う前に答えた。

「そう…カズヤ君が刺された事がトドメの一撃になった。サヨちゃんの心はこの時に完全に壊れたはずだわ…」

『お兄ちゃんも死ぬの??』

『ヒサも死んじゃったのに…』

『…みんなサヨを残して死んじゃうの??』

『…いやだよぉ』

『…イヤァァアア!!』

この時に…サヨは…。

「サヨちゃんは辛い記憶を心の奥底に閉じ込める記憶喪失とはまた違う症状。言うなればサヨちゃん自身が死ぬ事を望んだの…今のサヨちゃんは心が死んだ状態…」

「つまりサヨは…」

「非常に言い辛いけど…回復する可能性は低いわね…」

精神科の先生が可能性が低いと言ったんだ。サヨはこのまま一生…。

「でも私は諦めてないからねヒサジ君!!1%でも可能性がある限り私は絶対に諦めない」