すると向こう側から院長先生が歩いてきた…。

「あぁヒサジ!!ホントに意識が戻ったんだな。ホントに良かった…」

院長先生はうっすら涙を浮かべながら俺に話かけてきた…。

「心配かけてごめん…もう大丈夫だから!!」

俺もこれで親不孝者の仲間入りだな。

院長先生には心配ばかりかけるよ…。

少し話した後院長先生はカズヤの様子を見に行くと言って、俺が居た病棟に向かって行った…。

そういえばカズヤの意識も戻っていないんだったな…。

後で様子を見に行くか。

俺は精神棟らしい病棟のエレベーターに乗り、サヨの病室の前にたどり着いた。

ここにサヨが居るのか…。

先生が一度ノックをして病室のドアを開けた…。

個室らしい病室には確かにサヨが居た。

正確に言えば…サヨの人形が居たんだ。

俺が入って来たのにこっちを見る事なく前を向いている…。

「サヨ??こっちを見てくれ…」

俺はサヨの目の前まで行って無理矢理サヨの視界に入った。

サヨの目には俺が映っている筈なのに、俺に気付く事は無かった…。

「ヒサジ君…非常に言い辛い事だけど、サヨちゃんは心が死んでしまっているんだ」

心が…死ぬ??