「お待たせしてしまったかしら」

胸元をその白い手で押さえて、弾んだ息を整えながら、志津は、かわいらしい声で、そう尋ねた。

「少し、遅くなってしまったかしらね」

「……いえ……」

晴興は、言葉少なに否定する。