「晴にィーっ」

博行は、晴興の妹――雪乃(ゆきの)よりも、まだひとつ、年下だ。

その小さな従兄弟が、むうっ、と、赤い唇を尖らせて、なかなか起きてこようとしない晴興を、呼んでいる。

眼を閉じているのだから、見えるはずがないのに、その光景は、目に見えるようにはっきりと、映像として頭に浮かぶ。