「お風邪は、相当、お酷いのですか?」

晴興は、無理に笑って、ゆっくりと首を左右に振った。

「大丈夫、ただの風邪です。雪乃が大げさなのですよ」

数年前に、肺炎で弟を亡くしている、志津。

彼女の気持ちを思うと、これ以上、心配させるわけにはいかない。