「志津、姉さん……」

晴興が、ひそかに憧れを抱いている、隣家の少女。

志津は、にっこりと笑って、手にした盆を少しばかり持ち上げてみせた。

「お粥を、お持ちしましたわ」

土鍋から立ち上る湯気は、食欲をそそる香りがしている。