「……起きたのか」

紅耀が、少女の背中の向こうから、言ってきた。

もっとも、それが自分自身に向けられた言葉なのか、少女への確認なのか、晴興には、確信が持てなかった。

少女が、振り返る。

その視線の先には、紅耀が、いた。

相変わらず、長槍を抱いたままの姿勢で、片膝をたてて、座っている。

紅耀は――彼は、彼女の姿に、何の疑問も持たないようだった。