兄さんは、

もう、帰ってこない。



晴興の言葉に、



「ええ。えぇ……わかっておりますわ」

志津は、

震える声で、

俯きがちに、応える。



「けれど……」

けれど、どうしても。

「私には、

貴露様を忘れることなど、できません」